とうとうエルビスが恐れている日だった。
寒いのが大の苦手の彼。伊豆くらいだったら半袖で過ごせたけど、
そうはいかないのが北海道。

朝5時の始発に乗って、羽田空港へ向かい、おばあちゃんちのある
北海道へ向かう。
実は、唯一「行くんでない」と言っていたおばあちゃんに
ベリーズの彼を遭わせたくて、この旅行を企画していたのだが、
おばあちゃんは、私が帰国する2週前に他界してしまった。

それでお葬式にも出られないまま、初めてお線香を彼と一緒に
あげに行くという旅になってしまった。仏壇で笑っているお祖母ちゃんに
私はひざまづくしかなかったが、彼は変わらぬ笑顔で「おっらー」と
挨拶していた。今はこの家を母の兄である叔父さんが継いでいるが、
この家、オール電化になっていた。まず家内をヒーターで湯が回ってるので
廊下もどこもかしこも暖かい。トイレも自動で、近くに行けば勝手に電気がつき
、ふたが自動に開き、用が済むともちろん勝手に流れる。
テレビも大型ハイビジョン、車はスカイライン、田舎の家の方が数倍ハイテクだった。

うちの家系は漁師だが、ホタテの養殖を専門に、すべてにおいて
ベリーズのそれとは比べ物にならない、育てて採る、無駄がない漁業だった。
親戚の叔父さんは途上国に漁業の技術移転などをしに行ってるとのことだったが、
それでも英語は全然しゃべれなくて、外国人に興味があって、近所の人たち皆
エルビスを見に10人以上やってきた。

エルビスも何だかわからない騒ぎにびっくりしてたけど、同じ海バカなので
うれしかったらしい。タコとかカニとかそんなにおっきなのは見たことなくて喜んでた。


それから、元ベリーズの美術隊員さんが森町というところにいるので
訪問させてもらった。彼は月一万円という山小屋で、太鼓を作ったりして
人生を営んでいた。ベリーズにいるときより質素でものづくりに励んでいて、
おみやげに「麻ちゃん、牛の牙よかったら何かに使って。」と牙を頂いた。
エルビスは、鹿の毛皮の一部をもらって、魚の仕掛けにするようだ。
何でも、鹿は一年に1回牙を落とすので、牙拾いツアーなるものがあるらしい。
ベリーズでも牙のアクセサリーは人気だが、材料が一定して入らないので難しい。

日本でもこんな暮らしをしている人がいるとは・・・
みんなそれぞれの場所で自分に合う生き方を見つけてるんだな。
東京みたいに華やかじゃないけど、なんかすごくいいと思う。