昔の私は、バードウォッチングの何がそんなに楽しいのか、まったく理解できなかった。鳥を見るためにわざわざ朝早く起きて、森の中を歩き、双眼鏡や大きなカメラを持って、何時間も鳥を探す。
「鳥なんて、その辺にもいるじゃない」

そんなふうに思っていた。
ところが今では、時間ができると鳥を見に行きたくなる。
旅行に行くのも楽しい。海に潜るのも好き。知らない場所を訪ねるのも好き。
でも、「最高の休日って何だろう?」と考えると、私にとっては、カメラを持って森や自然の中を歩き、鳥を探している時間なのかもしれない。
なぜバードウォッチングがこんなに楽しいのか。

改めて考えてみた。
1.「鳥を見る」ことだけに集中できる
普段の生活では、頭の中でいろいろなことを考えている。
仕事のこと、家族のこと、明日の予定、やらなければならないこと。
ところが、鳥を探している時は違う。
「あ、何か動いた」

そう思った瞬間、すべての意識がそこに向かう。
どこ?
あの枝?
もっと上?
葉っぱの裏?
そしてカメラを構えてファインダーを覗く。
その瞬間、私の世界はファインダーの中だけになる。
仕事のことも、明日の予定も、心配事も、全部消える。
ただ、そこにいる一羽の鳥を見る。
もしかすると私にとってバードウォッチングは、一種の「瞑想」なのかもしれない。
何も考えないように努力するのではなく、鳥に夢中になることで、自然に頭の中が空っぽになる。
それが、とても気持ちいい。
2.動くものを捉えた時の「やった!」という感覚
鳥の写真は、思った以上に難しい。
こちらがカメラを向けた瞬間に飛んでいってしまったり、枝の後ろに隠れてしまったりする。
「お願い、あと3秒だけそこにいて!」

と思っても、もちろん鳥はこちらの都合なんて聞いてくれない。
だからこそ、飛び回っていた鳥をファインダーの中に捉え、ピントが合って、シャッターを切れた瞬間がうれしい。
「撮れた!」

魚を釣り上げた時にも似た、ちょっとした獲得感がある。
でも、魚と違うのは、鳥はそのまま飛んでいくこと。
私は写真だけを持って帰る。
この感じが好きなのだと思う。
3.美しいものを少しずつ集めていく楽しさ
鳥を撮り始めると、

「こんな色の鳥がいたんだ」
「こんな目をしていたんだ」
「羽ってこんなにきれいだったんだ」
と驚くことがある。
肉眼では一瞬しか見えなかった鳥も、写真にすると、その美しさをゆっくり見ることができる。
そして写真が増えていくと、自分だけの小さなコレクションができていく。

でも、何かを所有しているわけではない。
鳥は今もどこかの森を飛んでいる。
私のところに残るのは、その鳥と出会った一瞬の記録だけ。
「あの日、あの森で、この鳥に会った」
写真を見ると、その時の空気や光、森の匂いまで思い出すことがある。
美しいものを集めているようで、実は「出会った瞬間」を集めているのかもしれない。

4.自然を汚さず、動物を傷つけず、写真だけを持ち帰る
これも、私がバードウォッチングを好きな大きな理由。
もちろん、鳥に近づきすぎない、巣を邪魔しない、大きな音を出さないなど、自然に対する配慮は必要だ。
でも基本的に、私がやることは見ることと写真を撮ることだけ。
鳥を捕まえる必要もない。
何かを持ち帰る必要もない。
森にゴミを残す必要もない。
鳥は鳥の生活を続け、私は写真を持って帰る。
それだけで、こんなに満足できる。
自然から何かを「取る」のではなく、見せてもらう。
そんな遊びがあることが、今はとても贅沢に感じる。
5.結局、人間も自然の中にいると気持ちがいい
鳥を探していると、自然と歩く。
木の下を歩き、土を踏み、葉っぱに触れ、風を感じる。
鳥を探して上を見上げれば、木漏れ日が見える。
鳥がいなくても、蝶が飛んでいたり、トカゲがいたり、面白い植物を見つけたりする。
そして何より、鳥の声を聞く。
普段なら「鳥が鳴いている」で終わってしまう音も、鳥を知るようになると、
「今の声は何だろう?」
と耳を澄ませるようになる。
そうすると、森が急ににぎやかな場所になる。
以前はただの「緑」に見えていた森の中に、たくさんの命がいることに気づく。
そして何時間か歩いて帰るころには、身体は疲れているのに、不思議と頭はすっきりしている。
鳥を探しているようで、自分を休ませている
昔は、鳥を見るためだけに森へ行く人の気持ちがわからなかった。
今なら、少しわかる。
バードウォッチングの楽しさは、「珍しい鳥を何種類見た」ということだけではない。
鳥を探している間、余計なことを考えなくていい。
見つけた瞬間にワクワクする。
美しいものに出会える。
自然を傷つけず、その記憶を写真として持って帰ることができる。

そして、木や土や風の中を歩いているうちに、身体も心も少し元気になっている。
考えてみれば、こんな休日はなかなかない。
何か特別なものを買うわけでもない。
豪華な場所に泊まるわけでもない。
ただカメラを持って自然の中へ行く。
そして、小さな鳥を一羽見つけて、
「あ、いた!」
と夢中になる。
たぶん私にとって「癒される」というのは、何もしないことではない。
好きなものに夢中になって、他のことを全部忘れられること。
だから今の私にとって、鳥を探して過ごす一日は、最高の休日なのである。

10月28日出発 阪急交通社 4つのマヤ遺跡と5つの世界遺産を巡る≫死者の日と中央アメリカ3ヵ国周遊10日間













































































来週、ベリーズ国境から100km以内に点在するマヤ遺跡に、足を延ばしてきます。


3位 ゴフ島とマングローブクルーズ




















